ひだまり通信

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子どもの間で急増している発達障害とは?

2013 年 1 月 7 日 | お役立ちコラム | コメントは受け付けていません。

昨年、文部科学省による全国調査で、公立小・中学校に通う生徒の6.5%に発達障害の可能性があるという結果がでました。推定61万4000人もの子どもたちが授業に集中できなかったり、学習に困難を感じていますが、このうちの約4割は十分な支援を受けておらず、この分野の専門家育成の必要性が指摘されています。そこで今月は発達障害について考えます。

 

●3つの種類がある発達障害

 

一般に発達障害と呼ばれる症状には、3つの種類があります。

代表的なものが高機能自閉症で、知的には正常ですが、こだわりが強く、人の気持ちがなかなか理解できません。コミュニケーションが上手に取れないので、周囲から「変わり者」「空気が読めない」などと批判され、いじめの対象になりやすいタイプです。感覚が非常に過敏で、中には他人に体を触られることを嫌い、赤ちゃんの頃から抱っこをいやがる子どももいます。また食べ物の好き嫌いが極端で、子育て期の食事作りに苦労をする親も少なくありません。

2番目の発達障害はADHD(Attention Deficit / Hyperactivity Disorder)と呼ばれています。この障害はADD(不注意型症候群)と、HDD(多動・衝動性症候群)の2種類に分けられ、ADDの子どもは内向的で物忘れが多く、比較的、女子に多く発症します。HDDの子どもは落ち着きなく動き回り、集中力が続きません。

3番目が学習障害です。読み書き、計算、推論など、学校の授業を受ける上で必要な能力が一つか二つ、極端に発育が遅い傾向にあります。たとえば幼稚園入園の段階で丸と三角形の区別がつきにくい、パズルの型はめができないなどの症状として表れます。ただし平均すれば知能は通常レベルなので、知的障害があるわけではありません。

 

●発達障害は、なぜ増えているのか?

 

発達障害は先天的な脳機能のトラブルによるもので、医学的な発生原因は特定できていません。一定数の人間がいれば、常に一定数の発達障害者が存在します。しかし近年、急激に障害を抱える人の数が増えていて、子育て環境の悪化に原因があるのではないかと疑われています。

かつて子どもたちは自然の中で自由に走り回り、自分たちで遊び方や遊びのルールを考え、異年齢で群れになって過ごしていました。その過程で気づかないうちに脳が発達し、多少の障害を抱えながらも、いつのまにか社会に溶け込む力を高めていったのではないかと考える専門家もいます。

現在の子育ての様子を見ると、異年齢での遊びはほとんどなく、泥遊び、水遊びも不潔だからと制限されます。ともすれば母子でマンションの中に引きこもり、周囲の苦情を気にして音を出さないよう、静かに過ごすという暮らしでは、子どもの脳が十分に発達しない恐れがあるのです。

 

●適切な保育で、症状を和らげる

 

発達障害がある子どもは、不器用なタイプが多く、集団の中でみんなと同じことをするのが苦手です。すると「あの子はなんでできないの?」と周囲にやっつけられて極端に自信を喪失し不登校になったり、心が傷つけられ、二次障害によって自分や他人に暴力をふるうなどの行動が出ることもあります。

しかし発達障害のある子どもでも、本人にあった養育の方法で、丁寧に楽しく育てれば、年齢を重ねるにつれて徐々に社会へ適応するようになります。特に自閉症やADHDの子どもは型にはめられることを極端にいやがるので、「人と違っていて、いいんだ」という発想が保護者に求められます。ですが普通の子どもより子育てに手間暇がかかり、周囲からも特別視されて苦しんでいるお母さんもたくさんいます。今後は保護者をサポートする環境作りや、発達障害の専門家を保育や教育現場に入れていく活動が必要になるでしょう。

 

以上、発達障害の現状と解決法について解説しました。日本の未来を担う子どもたちを健やかに育てる意味でも、発達障害について学ぶことはとても重要ではないでしょうか。

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